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■原題または洋題 :Concerto for Percussion Octet in D Minor; A Transcription from A. Vivaldi's Concerto, Op. 3 No. 11 (L'estro armonico) and J. S. Bach's Arrangement for Organ, BWV 596 II & III
■作曲者 :アントニオ・ヴィヴァルディ、 J. S. バッハ
■編曲者: 會田瑞樹(Mizuki Aita)
■演奏時間 :約5分00秒
■出版社 :Golden Hearts Publications
■参考音源:You Tube
■スコアサンプル
■楽曲について
1711年、アムステルダムで出版された《調和の霊感》はヴィヴァルディの名声を確かなものとした作品である。1708 年から1717 年、ヴァイマル時代のバッハもこの譜面を入手し、《オルガン協奏曲
BWV596》として編曲を手がけた。
打楽器を志す以前、ヴァイオリンを通してこの作品の第一楽章に出会ったときの衝撃は大きかった。この時受けた照井勢子先生のレッスンはその後の僕の音楽の根幹をなすものとなった。
その数ヶ月後、僕は人生の決断を迫られていた。「打楽器を本格的に勉強してみないか?」という誘い。それはヴァイオリンへの訣別を意味していた。ヴァイオリンに身の入らないことをいち早く照井先生は察して、ある日強く叱責された。「このままでは演奏会に出演することは認められない。」その時に稽古していた曲が、今回編曲を手がけた第二楽章、第三楽章である。シチリアーノ風の嘆きを歌う第二楽章はヴィブラフォンを中心とし、当時の自分自身の不安定な心境を重ねた。第三楽章は「リズムの魔に」という副題をつけることにした。どんなにヴァイオリンを弾いていても、僕の耳の奥にはこんな風に「リズム」が響き渡っていた。そうして僕はこの曲の演奏を終えて、リズムの魔に、取り憑かれていく。
初演は2022年8月11日京都文化博物館。アンサンブルさいさいに捧げる。
(會田瑞樹)
演奏と編成について:
楽器編成(最大8名)
ヴィブラフォン1台
マリンバ (5オクターヴ) 2台
打楽器(金属、皮質の中で自由に奏者が選択できる)
演奏最低必要人数3名
ヴィブラフォン1台
マリンバ (4 オクターヴ)2台
※マリンバはI-a,II-b を演奏。
フレキシブル編成の参考例
ヴィブラフォン1台
マリンバ (5オクターヴ) 1台
マリンバ (4オクターヴ) 1台
※マリンバはI-a,II-a, b を演奏。
適正打楽器を組みあわせるなど。
打楽器について
音高のみを指定し、金属(シンバル、トライアングル、タムタム、鉄の板など)、皮質(バスドラム、スネアドラム、トムトムなど)のなかで自由に組み合わせて良い。またバチや弓奏、指で弾く等、それらもアンサンブルバランスで即興的に調整する。
■Golden Hearts Publicationsより
ヴィヴァルディの「調和の霊感」、そしてそれを元にバッハが編曲した「オルガン協奏曲 BWV596」、双方のスコアを照らし合わせながらこの音楽を打楽器で表現することを試みた作品の第2楽章と第3楽章。先に出版されていた第1楽章と合わせることで完全版となります。神聖な美しさはそのままに、打楽器の魅力を存分に引き出すアレンジとなっています。
■編成(セットに含まれるパート) :
Solo Vibraphone
Marimba I-a
Marimba I-b
Marimba II-a
Marimba II-b
Perc. 1
Perc. 2
Perc. 3
會田瑞樹(Mizuki Aita)
打楽器奏者。1988年宮城県仙台市生まれ。幼少よりヴァイオリンを照井勢子氏に師事。
12歳で打楽器を志し、佐々木祥、星律子、有賀誠門、藤本隆文の各氏に師事し基礎を学ぶ。
宮城県仙台第二高等学校を経て武蔵野音楽大学において吉原すみれ、神谷百子の両氏に師事。2014年武蔵野音楽大学大学院修士課程修了。
2010年日本現代音楽協会主催第9回現代音楽演奏コンクール”競楽?\”において大会最年少ファイナリストとしてデビュー、第二位を受賞。 「憑依型の演奏(西耕一氏)」と評されるなど話題を集めた。
2011年6月にはサントリーホール主催レインボウ21「打楽器音楽、その創造と継承」公演において総合プロデューサーと演奏者の二役を担い、行動する演奏家としての姿勢を示した。その後、會田のそれらの姿勢を見守ってきた打楽器奏者・高橋美智子氏より、長年女史が使い続けてきた
Deagan 社ヴィブラフォンを譲り受ける。それをきっかけにヴィブラフォンの魅力の更なる開拓を求めて 2012 年ヴィブラフォンソロリサイタルを初開催。
以降、打楽器・ヴィブラフォンのための新たな魅力の追求を活動のテーマとして、 これまでに湯浅譲二、間宮芳生、末吉保雄、水野修孝といった巨匠世代から、権代敦彦、山内雅弘、国枝春恵、木下正道ら中堅世代、薮田翔一、白藤淳一、坂田直樹、佐原詩音をはじめとする若手世代と幅広く協働して次々と自らのリサイタルで新作初演を行い、その数は現在200作品を超える。
加えて、演奏家としての独自の目線からの作曲活動も近年活発に行い、2019年には日本作曲家協議会主催:第十回JFC作曲賞に入選を果たすなど、その活躍の幅を広げている。