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■原題：Symphony No. 5 Return to Middle Earth



■指揮者：イヴァン・メイルマンズ（Ivan Meylemans）



■演奏団体/演奏者：トルン聖ミカエル吹奏楽団（St. Michael Thorn Wind Orchestra）

合唱：ブラバント合唱団（Brabant Choir）

ソプラノ：クラウディア・コーウェンベルフ（Claudia Couwenbergh）


■レーベル：アムステル・クラシックス (Amstel Classics)



■発売年：2019




■WBP Plus！レビュー



デメイ作品の代名詞でもあり日本でも人気の交響曲第1番「指輪物語」と同じ世界（トールキンの小説の世界）にもう一度挑んだ、そんな話題作だった「リターン・トゥー・ミドルアース」。製作途中の時点でWind
Band Pressでも紹介して、最終楽章のスコア1ページ目（多分その時点では完成品ではない）の画像も掲載しましたね。デメイ氏はこの作品のプロジェクトのための寄付も募っていました。それだけ大掛かりなプロジェクトだったということかと思います。

その後2018年11月3日にアメリカで世界初演、2019年4月27日にオオサカ・シオン・ウインド・オーケストラによって日本初演されました。曲名にある「ミドルアース」はトールキンが生み出した架空の世界「中つ国（なかつくに）」のこと。「指輪物語」以外にもトールキンが指輪物語の前に書いた「ホビットの冒険」や、この2作よりずっと前の神話の時代を描いた「シルマリルの物語」も、すべてが「中つ国＝ミドルアース」の世界での話。「指輪物語」で成功したデメイが、再びトールキンの世界を描いた、ということですね。


圧倒されるのはその壮大さ。大編成吹奏楽、合唱、ソプラノのための作品で、これまでの交響曲第1番から第4番までにデメイが挑んできた様々な音素材の現時点での集大成的な感じになっているのも注目どころです。圧倒され具合として近いのは交響曲第3番「プラネット・アース」かな。それに第1番の「指輪物語」のファンタジックな世界観が合わさって、唯一無二、デメイにしか成し得ない凄まじい作品に仕上がっています。


これはもう、演奏する機会がなくても（多分ない）それでも聴かないといけない、吹奏楽編成の交響音楽としての可能性がどこまで広がっていくかというのをリアルタイムで感じるために聴いて欲しい、そんな作品、そんなCDです。ただの焼き直しでも二番煎じでもないし、デメイがお金に困っているわけでもない（多分ね）。記念碑的作品、と言えるポジションの作品かと思います。




■収録曲：



作曲：ヨハン・デメイ（Johan de Meij）

交響曲第5番「リターン・トゥー・ミドルアース」

　Symphony No. 5 Return to Middle Earth

1. 第1楽章：宝玉シルマリル　　Miri na Feanor (Jewels of Feanor) [6:19]

2. 第2楽章：ルーシエン・ディヌヴィエル（小夜啼鳥）　　Tinuviel (Nightingale) [8:28]

3. 第3楽章：黒龍アンカラゴン　　Ancalagon i-mor (Ancalagon the Black) [5:37]

4. 第4楽章：アルウェン・ウンドーミエル（宵の明星）　　Arwen Undomiel (Evenstar) [5:22]

5. 第5楽章：怒りの戦い　　Dagor Delothrin (The War of Wrath) [5:45]

6. 第6楽章 スリングウェシル（隠密なる影の女）　　Thuringwethil (Woman of Secret Shadow) [12:03]