• 今週の振り返り:作曲家の矜持

     

     

    こんにちは!

    Golden Hearts Publicationsの梅本です。

    週に1回、Golden Hearts Publicationsのその週の振り返りとして、なにか変更を加えたことや、考えていたことなどを皆様に共有できればと思います。

    今日のタイトルは「作曲家の矜持」です。

    今週はロブ・ウィッフィンの吹奏楽作品2作品を販売開始しました。

    「今月は新作出せないなー」と思っていたところにデータが届いたので良かったです。

    メルマガでも少し書いたのですが、メルマガを読む人も今の時代多くないですから、あらためて考えたことを書いてみようと思います。

    今回のロブ・ウィッフィンさんの2作品のうち、「人生の喜び」は、以前彼に日本の吹奏楽コンクールの話をしたことがあって、それがきっかけとなっているようです。

    おそらく彼から短い作品の提出が多かった時期で、「もう少し長いと吹奏楽コンクールで演奏されやすくなるかも」みたいな話をしたのかもしれません。もう何を彼に伝えたのか覚えてないくらい前の話です。

    今回の「人生の喜び」を送ってきてくれたときに、そんなことが書いてありました。

    ですがコンクール自由曲としてはちょっと長い。9分超えてますからね。

    そこで、「もしあなたが日本の吹奏楽コンクールを意識するのであれば」ということで、あらためて彼にレギュレーションなどを伝えて、「もし日本の吹奏楽コンクールの自由曲として選ばれたい、それによって知名度を上げたいのであれば、事前にカットを認めるのもひとつのやり方です」という話をしてみました。

    僕はカットは好きではないですが、作家さんがどうしたい、どうなりたいかは尊重したいところです。

    いろいろとやり取りをして、ウィッフィンさんからは下記のような最終回答がありました。

    「私自身、日本の吹奏楽コンクールの世界に特に強い関心があるわけではありません。ただ、この新しい作品がコンクールで演奏するのに適しているのかどうか、ふと疑問に思っただけなのです。

    もしコンクールで演奏されることによって、楽曲がカット(短縮)されてしまうのであれば、むしろコンクールでは取り上げてほしくありません。

    以前にもお話ししたかもしれませんが、私は自分自身の楽しみのために作曲をしており、作品は書いたそのままの形で残しておきたいと考えています。

    『The Joys of Life(人生の喜び)』という作品は、通常よりも少し長めの曲にしようと意図して書いたものです。そのせいで商業的な価値が下がるかもしれないことは承知していますが、私にとっては特に気にならないことでした。」

    これが彼の意思であり、スタンスなのです。

    ほかの多くの作曲家もそうかもしれません。

    ただ、日本の出版社の中には、ざっくりと表現するなら「著作者人格権に配慮する範囲でのカットを認める」というような感じの、なんとも曖昧で、どうとでも解釈できる条件でカットを認めているところもいくつかあるようです。

    著作者人格権について配慮する、考える、そうしたうえでのカット、とは何か。いまいちわかりません。著作者人格権に配慮する、考慮する、尊重するのであればそもそもカットはしないんじゃないかと思います。

    ですから、著作者人格権についてどれくらいの意識を持っているか、というところにかかってくるのではないでしょうか。「作家本人に聞いたわけじゃないけど、このくらいの改変なら許されるだろう(または許されないだろう)」という「程度」の話です。

    実際、そうしないと日本では楽譜が売れないのでしょう。日本だけでなく世界中に山ほどある、吹奏楽コンクールの演奏時間のレギュレーションに収まる曲を選べば「カット」する必要もないと思うのですが、「長い曲をカットすることに快楽を覚える」「カットの腕を褒められたい」「ただ単に切り刻みたい」という人が多いのかもしれません。これはただの憶測です。おおっぴらにそんなことを言う人はいないでしょう。

    練習時間が取れないので冬や春の演奏会で取り上げた長い曲を夏のコンクールでカットする、という事情もありそうです。(著作者には関係ない事情ですけれど)

    そして、そういう出版社に作品を預けるということは、作曲家も「その条件を飲まないと売れない」と理解しているのでしょう。

    ただ、それを理解することと、その条件を認める(飲む)ことは別の話で、作曲家によってはそういう出版社でもその条件の対象外となっていたりするようです。

    ウィッフィンさんについても、問い合わせがあれば念の為に相談はしますが、カットの許諾は降りない可能性が高いです。上記のようなスタンスなので。

    作曲家の矜持としては当然かな、と僕は思います。休符も含めて無駄な音はひとつも書いていないと思いますからね。他人からなんと言われようと本人としては無駄な音はないでしょう。当然カットできるような箇所もないはずです。

    長い年月を経て作曲者自身の腕も上がり、自作の過去作を改訂することはあるでしょうけど、それをしない限りはその作品のそのままの形が(少なくとも作曲者としては)現状のベストな形ということです。

     

    今日はこの辺で。また来週!

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